出歩き、いたずら、注意散漫
「こら!席に着きなさい!」
「他のことをしない!」
こんな声が聞こえてきそうですね。
学校の先生をやっていると、こういう子どもには必ず出会いますし、
いかに自分の授業に集中してもらうかを色々模索するものです。
どうやったら、「生徒に興味を持たせる授業」が出来るのか…。
これは結構悩ましいですよね。
でも、全部が全部、わるいこと?
とも思うわけです。
そこで、
今日は私の教員時代からの悩みというか、考えていたこと
「生徒に興味を"もたせる"授業」
について、個人的な考えをまとめていきます。
(私はちょっと変わっていると自覚してます…笑)
理想的な授業?
例えば自分が教壇に立ったとき、
自分が口を開くと、子どもたちが全員こちらを見てくれて、
全員が話をうなずきながら聞いてくれて、
わからないところは質問し、
友達と議論してと指示すれば活発に議論を交わす。
こんなクラスだったら、教員側としては
とても気持ちいいと思います。
だけど私は、こんなクラスがあったら
正直、ちょっと心配。
というか怖い。
だって、40人も人が集まれば、必ず興味や思考も異なるので、
うなずいて話を聞いているように「見せかけている」だけで、
本当はとても退屈している子どもが、いるかもしれないから。
我慢して、やる気があるように振る舞っている子がいるかもしれないから。
そうすることが、「いいこと」だと信じている子はたくさんいます。
行動から見えるメッセージ
だいたい、どこのクラスでも、
授業中に漫画を読んだり
友達とこそこそ話をしていたり、
携帯いじったり、
(小学生だと走り回ったり、けんかが始まったり、もっといろいろありますが。)
そういう場面、見かけますよね?
もちろん学校によって、程度や状況は異なりますが。
そこから見えるメッセージとしては、
①「この授業を受ける必要性」が見当たらない。
もしくは
②自分にとっては、今もっと楽しい事があって、そちらの方が重要。
(純粋にじっとしていられない場合もありますが、それについては、またの機会に)
などですよね。
①の場合は、先生と生徒の間でしっかりコミュニケーションがとれていなかったり、授業が今後の人生にどう重要か、伝えて切れていない、「教員側の課題」という部分もあるでしょう。
しかし、私が気になるのは、②のパターンです。
興味を”もたせる”授業
授業に集中してくれず、他のことをやり始める生徒(この場合思考がより行動に出やすい小学生を想定しましょうか。)を見かけると、
教員としては、やはりちょっとショック。
自分の授業に魅力がないのかな…。
どうしたら生徒に興味を”もたせる”授業が出来るかな…。
なんて考えたりします。私も経験あります。
しかし!
そもそも、その悩み自体が根本から違うように思うようになってきました。
(いつからか…。)
興味を”もたせる”授業で、主体的で対話的な深い学び?
少し横道にそれますが
教育現場では、数年前から「主体的で対話的な深い学び」を合い言葉に
アクティブラーニングなるものが意識されています。
もちろん、私もこれは大切だと感じています。
実際以前の記事でも書いたとおり、
机に向かって詰め込むだけの学業が優秀だったとて、
変動の激しい世の中に対応して、生き抜くだけのスキルが身についているわけではありません。
自分で一歩踏み出したり、他者と協働出来たり、物事を多角的に深く考える力は必須です。
話を戻しますが、
教員の気持ちとして
「生徒に興味を”もたせる”授業」をしなくては
という意識はやはり強いと思うんです。
ここです。気持ち悪いの。
「興味を”もたせる”」って言っている時点で、
生徒をコントロールしようとしてる気がしませんか?
大人が
こどもに
興味を”もたせる”?
私の中では、これが「主体的」という言葉とけんかします。
葛藤
私の中では、子どもが40人も集まれば、頭の中はとんでもなくバラバラの興味を持つ、未知なる集団です。
次に何をするのか…。
全員が全く同じ事に興味を示す事は、稀です。
とはいえ、凄腕の先生であれば、生徒達を釘付けにするような授業を展開するのかもしれませんが、それでも、365日3年間すべてのクラスにおいて、そんな授業が展開されるのは、あり得ないでしょう。
・外で鳥が鳴いたら、見に行きたくなってうずうずする子。
・捕まえた虫を机に隠していて気になって仕方ない子。
・次の体育の授業が楽しみで、そわそわする子。
いろんな子がいますから。
そういう子達が、自分の興味のあることに好き好きに取り組み始めたら、
それは、
授業崩壊
に見えるでしょう。
だけど、主体的興味っていうのは、本来そうやって内側から自然と湧き出てくる興味だと思うんです。
私は教員をやめた身なので好き勝手言ってますが、
(今はこども科学実験教室を経営しています。)
例えば私が、その日行う実験の準備を一生懸命します。
楽しんでくれるようにいろんな仕掛けを考えて、子どもたちの反応を楽しみにしています。
ですが、いよいよ実験がはじまると、ものすごく目を輝かせて楽しむ子もいれば、途中で別の実験器具や水槽の生き物に興味が移っていく子もいます。
↑大人気のカメさん。
ちょっとさみしい気もしますが、子どもは正直です。
脱線した先に、その子の今一番興味のあることがあるのかもしれません。
だから、声をかけるにしても、何をしているのか注意深く観察してから言葉をかけなくてはいけないなと、いつも心がけています。
(※危険な事や、人を傷つける行為だった場合は叱らなくてはいけませんが。)
興味を掘り下げる場所
さて、ここまで好き勝手話してきましたが、いざ子どもたちの興味のままにすべてを委ねると、なかなか課題は多そうです…。
欧米では、授業中寝転んだり、一人黙々と取り組んだり、友達と賑やかに勉強したりを授業中自由に子どもが選択し学習スタイルや、進度、分野などもかなり自由度が高いようですが…。
とはいえ、日本での受験システムや今までのスタイルから考えても、学校ではあまりに好き勝手動く子は、他の子の学習の妨げとなると判断されて、注意の対象になる事も多いでしょう。
だからこそ、フリーとなった私の立ち位置や、こども科学実験教室という性質上、普段発揮し切れていない興味を存分に発揮できる場所になり得るのかもしれません。
(もしくは家庭もそういう場所になり得るでしょう)
少人数制だからこそ個々の興味を反映してあげやすい部分もあるかもしれません。
(親御さんとしては、授業に集中してほしい思いもあるかもしれませんが…汗)
純粋に「面白そう!!」と感じた知的好奇心を、遠慮せずに深めることが出来る場所を目指していきたいと思います。